初稿:1999年2月10日
最終更新:1999年8月21日

基準と規準(二)


池田 証寿/ shikeda@Lit.Let.hokudai.ac.jp

JIS X 0208:1997は 「包摂規準」であって「包摂基準」でないことは別に述べた (「基準と規準---包摂規準をめぐる混乱---」)。 「包摂規準」と正しく使っている場合は問題がないので 、「包摂基準」の使用例を探索し、紹介することにしよう。

「包摂基準」の用例

WWW

infoseekで検索したところ、35件がヒット。(1999年2月9日)
太田昌孝著『いま日本語が危ない』 - 文字コードの誤った国際化 - の目次
1997年9月に丸山学芸図書から出た同書の目次だが、原本でも確かに「包摂基準」と表記。
報道発表資料本文 JISX0208(7ビット及び8ビットの2バイト情報交換用符号化漢字集合)の改正ついて
平成8(1996)年9月26日付け、通産省工業技術院標準部情報電気規格課による。
『いま日本語が危ない』における字体の包摂に関する議論について
山本太郎「文字コードに関する最近の議論について」中の文書。他のは訂正してあるので、これは訂正漏れだろう。【1999年2月23日、誤記修正済み、メール有】
近代活字文献の電子テキスト化における字形の整理−JIS包摂基準〔規準?〕の活用と 提案−:飯島満(国立国語研究所辞典編集室)+大塚みさ(実践女子短期大学)
前田年昭「読書録」に掲載。語彙・辞書研究会第14回発表会(1998.12.5)の案内。
坂村健講演「TRONが考える日本語処理」
TRONSHOW'97 電脳未来展(On The Move #48)。
文字コードの体系化と漢字文化(14)(芝野耕司)
朝日新聞社調研談話会(97年12月1日開催)での講演。
SAT [ファイル形式] 文字コードについて
大藏經テキストデータベース研究会による。1998年。【1999年8月21日、誤記修正済み、メール有】
高橋顧問の「私見」に関する感想とコメント標準化に関する国の関与,DVD,TRON,および文字コード問題について
棟上昭男(情報規格調査会会長/IPA) (1998-09-15)。
メディアリテラシー 課題レポート[文字のデジタル化と日本人]
1998年5月14日。
特集 国境をこえる日本語の条件
1996年。芝野耕司(東京国際大学商学部)、豊島正之(北海道大学文学部)、笹原宏之(文化女子大学、現・国立国語研究所)、高田敏弘(NTT基礎研究所)、古瀬幸広(国際大学GLOCOM)、司会:家辺勝文(日仏会館)。
俗字の字典
【1999年2月11日、誤記修正済み、メール有】
インターネット漫遊記(9)......清水哲男
1997年8月。
JIS X0208:1997 公開レビュー結果の要約
符号化文字集合調査研究委員会(JCS)第2分科会(WG2) 。「公開レビュー公開審議は、1996年3月18日に、 日本規格協会で行われ、 参加者は10人であった。」とのこと。
98年5月13日の電波状況 http://cclub.cc.tut.ac.jp/%7ego/denpa/9805/#13
The Web KANZAKI 日本語と文字コード
Status: Updated Jul. 14, 1997.
つっこみ日記
1998年12月5日。
まあええかしゃーないな・・
re: 読売と漢字 name: よしふ☆ 25 Sep 1998 02:05:23 。
文字コード
東京大学教養学部 全学ゼミ「インターネットテクノロジー入門」 講義ノート (1998年1月9日) 。
乳の詫び状
乳の詫び状(1997/12/17)。
gooで検索すると28件がヒット。infoseekにない例、または私が見落とした例は次の 2件。(1999年2月10日)
【1999年2月12日修正】 漢字符号についての提案 斎藤秀紀 / 国立国語研究所
(1998.5.11)。旧稿に挙げた「Unicodeは好きですか? 」(和田英一 / (株)富士通研究所)の中には「包摂基準」の用例はなし。「字体包摂」を使用。
文字コードの何が問題になっているのか?(その8)(國友靖彦)
週刊「字々放談」第084号(1999年1月7日)
メディアリテラシー課題
Thu, 14 May 1998 13:57:30 +0900。
以上の用例には、引用文の例もあるし、座談会や講演を文字化したものもあり、ひとまとめにしてしまうのはよくない。しかし、署名入りで、本人の責任において公開したものにおける誤記はかなり重大な問題を含む可能性がある。個々に指摘はしないので、それぞれについて読者ご自身で確かめてほしい。

「包摂規準」の用例

ちなみに「包摂規準」はinfoseekで29件、gooで17件。

WWW

そらもよう(青空文庫)
infoseekでは「包摂基準」のほうでヒットしたものだが、正しく「包摂規準」となっている。修正したのかもしれない。

コメント

「包摂規準」よりも「包摂基準」の方が用例が多い。 いろいろと理由が考えられる。
  1. 単なる誤入力である。
  2. 「基準」と「規準」との区別を知らない。
  3. 漢字字体の符号化のための「規準」であることが理解されていない。
  4. 漢字字体の認定のための「基準」と判断している。
「包摂基準」としたものは、訂正してもらった方がいいのだが、そうかといって断りなしに修正して「包摂基準」として使っていた事実が抹消されるのは残念である。そこで上に上げた文書をPDFで保存しておくことにする。また、infoseekの検索結果もPDF化しておこう。

これで万全である。あとは、各サイトが修正するかどうかを見守るだけである。

【1999年2月12日追記】
池田の修正は、上のようにで、 各サイトの修正はで区別することにした。


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(C) Ikeda Shoju 1999 池田 証寿(いけだ しょうじゅ)
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