最終更新:1998年8月20日

基準と規準―包摂規準をめぐる混乱―


池田 証寿/ shikeda@Lit.Let.hokudai.ac.jp

gooで数調べ

岡島@福井大さんのことば会議室で「gooで数調べ」が話題になってました。 そこでこの文章のタイトルにつけた「包摂規準」に ついて、www.goo.ne.jpで検索てみたところ、8件のヒットでした。 一方、「包摂基準」ではどうかとこちらも検索してみたところ、 18件という結果。

規格票では「包摂規準」

JIS X 0208:1997ではもちろん「包摂規準」。しかしなぜか 「包摂基準」と表記する方が多いのは残念。 しかも結構、熱心に文字コードを論じている方でも 「包摂基準」と書いてたりします。

「基準」ではなく「規準」を使うことには、 深い意味があります。 すなわち、X0208の世界において、間違いなく文字を 符号化するための「規則」という意味で使っていると理解しています。 ですから、X0208以外の世界にいけば、別の規準は有り得ます。

「包摂基準」といえば、文字を認識する際に最低限満たされていなければならない ものになるでしょう。強いて挙げれば、常用漢字表に示された明朝体活字と 筆写の楷書との関係などが相当すると思います。 「基準」といえば、誰でも納得できる内容を期待しますし、期待して当然だと 思います。採点基準、建築基準、設置基準、変わっては困るもの、変わらないこと を前提にするものだと思います。

基準というと他を認めないというニュアンスが出てきますし、そう受け止められて いるふしはあります。 「包摂基準」というと漢字の字体認識において 唯一の絶対的な基準という意味がでます。 このあたりの理解不足や誤解が、JIS漢字の議論の混乱に拍車を かけることになっていると思います。


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