宋本廣韻の音韻データをHDICやDHSJRにつなぐ方法(5)

宋本廣韻の音韻データをHDICやDHSJRにつなぐ方法(5)

July 1, 2026
デジタル人文学, 日本古辞書
廣韻, 音韻学, 漢字データベース, Python, Awk, 宋本廣韻, HDIC, DHSJR, KRM, データ統合, 異体字, IDS, Unicode

はじめに #

前回の 宋本廣韻の音韻データをHDICやDHSJRにつなぐ方法(4)では、 gy_dhsjr_link.py--itaiji--itaiji-jsonオプションを使い、 DHSJR全74文献に gy_dhsjr_link.py を適用し、itaiji_gy_compare.jsonitaiji_jisx0213.json・CJKV異体字表・jp-old-style.txt・KRM未検証ペアを --itaiji-json で段階追加しました。unmatched は 22,012→7,523 行(約66%減)まで減る一方 multi は増加するトレードオフを定量的に示しました。

今回の(5)は unmatched 例を精査します。

まず、DHSJR全74文献から検討対象となるunmatched 例を抜き出し、データ入力ミスがないかどうかをチェックします。

dhsjr_gy_unmatched.tsvを分析 #

gy_dhsjr_link.pyで生成したdhsjr_gy_unmatched.tsvを用意し、重複したレコードを整理しておきます。

まず、check_blocks.pyでUnicodeのCJK統合漢字のブロックの情報を追加します。 dhsjr_gy_unmatched.tsvを入力して、dhsjr_gy_unmatched.blocks.tsvを自動生成します。 その上でソートして、unmatched_uniq.tsvを生成します。

python3 check_blocks.py
sort -u dhsjr_gy_unmatched.blocks.tsv > unmatched_uniq.tsv

次に、ブロック別集計を行います。これは、連載の(2)で紹介したsummarize_gy_unmatched_blocks.pyを用います。

python3 summarize_gy_unmatched_blocks.py --tsv unmatched_uniq.blocks.tsv --out unmatched_uniq.blocks_集計.md
Read 4,515 rows from unmatched_uniq.tsv
Wrote report (13 blocks) to unmatched_uniq.blocks_集計.md

unmatched_uniq.blocks.tsv ブロック別集計 #

2026-06-30

対象ファイル: unmatched_uniq.blocks.tsv

  • 総行数: 5,214 行
  • ブロック種類: 13 種

集計表 #

ブロック件数割合ユニーク文字数例(最大5件)
CJK統合漢字拡張B1,74733.5%1,711𢮎 U+22B8E、𣫘 U+23AD8、𦞲 U+267B2、𦡲 U+26872、𪙁 U+2A641
CJK統合漢字1,50628.9%917 U+4FCE、 U+5010、 U+55C5、 U+563F、 U+586A
IDC1,28024.5%1,278⿰⺼冊 U+2FF0、⿰⺼胃 U+2FF0、⿰⺼蚩 U+2FF0、⿰土虒 U+2FF0、⿰赤皮 U+2FF0
CJK統合漢字拡張A4869.3%426 U+3648、 U+43F6、 U+444C、 U+344A、 U+3E83
CJK統合漢字拡張F871.7%85𮞒 U+2E792、𮌤 U+2E324、𮓪 U+2E4EA、𮢶 U+2E8B6、𮀉 U+2E009
CJK統合漢字拡張C410.8%40𪺲 U+2AEB2、𪾼 U+2AFBC、𪜰 U+2A730、𪜾 U+2A73E、𪝀 U+2A740
CJK統合漢字拡張E270.5%27𫣗 U+2B8D7、𫥿 U+2B97F、𫦯 U+2B9AF、𫪦 U+2BAA6、𫮈 U+2BB88
該当なし250.5%16⿳艹宀⿰衤殳 U+0020、 U+25A0、 U+25A1、 U+3013、【⿰冫景】 U+3010
CJK統合漢字拡張G50.1%5𱂕 U+31095、𰊊 U+3028A、𰢚 U+3089A、𰢟 U+3089F、𰧫 U+309EB
CJK互換漢字40.1%4 U+F909、 U+FA17、 U+FA1D、 U+F9C8
CJK統合漢字拡張H40.1%4𱱋 U+31C4B、𱖞 U+3159E、𱵒 U+31D52、𱹫 U+31E6B
CJK互換漢字補助10.0%1沿 U+2F8FC
CJK統合漢字拡張D10.0%1𫞳 U+2B7B3

検討事項 #

unmatched_uniq.blocks.tsvを通覧すると、次のような検討事項が考えられます。

  1. 単字_見出しに空白など、余分な文字がないかどうかをチェックします。
  2. IDC1278例は⿰⺨表 U+2FF0、該当無し123例は⿳艹宀⿰衤殳 U+0020のような例があり、Unicodeですでに符号化されている可能性があるものをチェックします。
  3. CJK互換漢字4例について、JSON形式の異体字ペアファイルを作成します。
  4. CJK統合漢字917例について、不也 U+4E0Dのような明白なエラーの例をピックアップします。

単字_見出しに空白などあるもののチェック #

半角の空白 の混入が1例あります。これは修正が必要です。

awk -F'\t' '$2 ~ / /' unmatched_uniq.blocks.tsv
20-043-01        ⿳艹宀⿰衤殳   0020    該当なし

次に【】でくくった例が3例あります。これはを削除しておいたほうが扱いやすいでしょう。

awk -F'\t' '$2 ~ /【/' unmatched_uniq.blocks.tsv
30-024-01       【⿰冫景】      3010    該当なし
30-024-01       【⿰女庾】      3010    該当なし
30-024-01       【⿰彳䓗】      3010    該当なし
30-024-01       【⿰辛風】      3010    該当なし

IDCを含む単字_見出しの検討 #

IDC は Unicode の範囲が U+2FF0~U+2FFF なので、awk であれば正規表現中に直接その範囲を書けます。

次の処理で、1286件を抜き出したunmatched_uniq_idc.tsvを生成しました。

awk -F'\t' '$2 ~ /[⿰-⿿]/ { gsub(/[【】]/, "", $2); print }' unmatched_uniq.blocks.tsv  > unmatched_uniq_blocks_idc.tsv

unmatched_uniq.blocks.tsvを通覧すると、単字_見出しカラムに、平仮名やカタカナを含むデータがあります。

awk -F'\t' '$2 ~ /[ぁ-ゖァ-ヺ]/' unmatched_uniq.blocks.tsv
資料番号        単字_見出し     16進Unicode番号 ブロック
30-017-01       ⿺辶旋の旁      2FFA    IDC
30-048-02       ⿳亠ニコ        2FF3    IDC
30-048-02       ⿳亠ニ匕        2FF3    IDC
50-055-01       シ      30B7    該当なし
50-055-01       デ      30C7    該当なし
50-055-01       信じ    4FE1    CJK統合漢字
70-054-01       〓(やまいだれに「仙」)        3013    該当なし
70-054-01       字と    5B57    CJK統合漢字
70-054-01       祭り    796D    CJK統合漢字
70-054-01       走る    8D70    CJK統合漢字

上記のうち、字とのように平仮名を含む例は誤入力ですから、修正の必要があります。

字と漢語_見出し國人だから、とすべきでしょう。

〓(やまいだれに「仙」)𬏣 U+2C3E3があるので、これに変換するのがよいでしょう。

その他の例の説明は省略しますが、手元のDHSJRのデータに修正を加えておきます。

次にブロックカラムが該当なしのものを一覧すると、次のような例があります。

grep "該当なし" unmatched_uniq.blocks.tsv
20-043-01        ⿳艹宀⿰衤殳   0020    該当なし
20-043-01       ■       25A0    該当なし
20-043-01       □       25A1    該当なし
20-045-01       □       25A1    該当なし
20-055-01       〓      3013    該当なし
30-005-01       〓      3013    該当なし
30-005-02       ■       25A0    該当なし
30-008-01       ■       25A0    該当なし
30-017-01       □       25A1    該当なし
30-024-01       【⿰冫景】      3010    該当なし
30-024-01       【⿰女庾】      3010    該当なし
30-024-01       【⿰彳䓗】      3010    該当なし
30-024-01       【⿰辛風】      3010    該当なし
30-037-01       々      3005    該当なし
30-048-02       〓      3013    該当なし
30-048-02       ー(蝳)        30FC    該当なし
30-057-01       □       25A1    該当なし
50-041-01       ?      FF1F    該当なし
50-055-01       シ      30B7    該当なし
50-055-01       デ      30C7    該当なし
60-028-01       々      3005    該当なし
70-042-01       〓(乾左)      3013    該当なし
70-042-01       〓(小+卑)    3013    該当なし
70-054-01       々      3005    該当なし
70-054-01       〓(やまいだれに「仙」)        3013    該当なし

上記の例には、修正の余地がある例も見えます。

たとえば、〓(乾左の左側の字ということなら𠦝としてよいでしょう。の誤写の可能性も残るので、元に戻っての確認が必要です。

IDSデータとの照合 #

UnicodeのIDS関連のデータは、https://github.com/cjkvi/cjkvi-idsで公開されています。多数のファイルがありますが、ここではids.txtを利用してみます。

ids.txtは次のような内容です。CHISEのデータに基づいていますが、データ処理の手順を簡単にするため、今回は、ids.txtを用いることとします。

# Copyright (c) 2014-2017 CJKVI Database
# Based on CHISE IDS Database
U+03B1  α       α
U+2113  ℓ       ℓ
U+2460  ①       ①
(中略)
U+213D9 𡏙      ⿱囱圶
U+213DA 𡏚      ⿰土虒
U+213DB 𡏛      ⿰土奚

unmatched_uniq_blocks_idc.tsvの例をいくつか挙げます。

資料番号        単字_見出し     16進Unicode番号 ブロック
20-001-01       ⿰⺼冊  2FF0    IDC
20-001-01       ⿰⺼胃  2FF0    IDC
20-001-01       ⿰⺼蚩  2FF0    IDC
20-001-01       ⿰土虒  2FF0    IDC
20-001-01       ⿰赤皮  2FF0    IDC

単字_見出しの4番目の⿰土虒は、ids.txt𡏚として見えていました。 つまり、⿰土虒𡏚に変換するのがよいでしょう。

次の手順で進めると、unmatched_uniq_blocks_idc.tsvのすべての例をids.txtと照合できます。実際に照合したところ、93件を変換できました。

最初に、ids.txt はデリミタが半角スペースなので、これをタブ区切りに整形してしまいます。

awk 'BEGIN{OFS="\t"}{print $1,$2,$3}' ids.txt > ids.tsv

としておくと、タブ区切りのids.tsvが得られます。

そして、次を実行します。

awk -F'\t' 'BEGIN{OFS="\t"}
NR==FNR {
    ids[$3]=$1 OFS $2
    next
}
$2 in ids {
    print $1,$2,ids[$2]
}
' ids.tsv unmatched_uniq_blocks_idc.tsv \
> unmatched_uniq_blocks_idc_with_ucs.tsv

出力は次のようにきれいなタブ区切りになります。

20-001-01       ⿰土虒  U+213DA 𡏚
20-001-01       ⿰赤皮  U+27E5E 𧹞
20-043-01       ⿰口臘  U+21158 𡅘

Unicode 符号化済み文字へ一括置換するスクリプト #

前述の手順で作成したunmatched_uniq_blocks_idc_with_ucs.tsvに基づいて、DHSJRの個別 TSV 内の IDC/IDS 表記をUnicode 符号化済み文字へ一括置換するスクリプトapply_idc_ucs_replacements.pyを用意しました。

資料番号 + 単字_見出し をキーに変換を適用し、対象列は 単字_見出し、単字_出現形、漢語_見出し、漢語_出現形 に限定されます。デフォルトは dry-run で、–apply 指定時のみバックアップを作成して実ファイルを書き換えます。

作成先は次のとおりです。apply_idc_ucs_replacements.py

使い方は次です。apply_idc_ucs_replacements.pyはscriptsフォルダに置いており、--map--data-dirのフォルダは私の環境のものなので、適宜各自の環境に置き換えてください。

python3 scripts/apply_idc_ucs_replacements.py \
  --map linked_out_dhsjr_all_cjkv-jp/unmatched_uniq_blocks_idc_with_ucs.tsv \
  --data-dir /home/ikeda/Hdic_data/DHSJR/data \
  --dry-run

実行結果は次のとおりです。

 python3 scripts/apply_idc_ucs_replacements.py   --map linked_out_dhsjr_all_cjkv-jp/unmatched_uniq_blocks_idc_with_ucs.tsv   --data-dir /home/ikeda/Hdic_data/DHSJR/data   --dry-run
mode: dry-run
map usable entries: 93
map duplicate rows ignored: 0
map conflicts skipped: 0
target columns: 単字_見出し, 単字_出現形, 漢語_見出し, 漢語_出現形

20-001-01_DHN.tsv: changed rows=4, replacements=14
20-043-01_KOJ.tsv: changed rows=6, replacements=24
20-044-01_HOK.tsv: changed rows=1, replacements=4
30-005-01_SKK.tsv: changed rows=2, replacements=6
30-005-02_SKO.tsv: changed rows=9, replacements=30
30-008-01_YSK.tsv: changed rows=5, replacements=16
30-008-02_YSD.tsv: changed rows=2, replacements=6
30-017-01_IRS.tsv: changed rows=5, replacements=18
30-048-02_RMK.tsv: changed rows=70, replacements=248
40-045-01_HOT.tsv: changed rows=2, replacements=6
50-029-01_JSR.tsv: changed rows=4, replacements=16
50-041-01_HNI.tsv: changed rows=1, replacements=4

examples:
20-001-01_DHN.tsv:3136  20-001-01       ⿰土虒 -> 𡏚    4
20-001-01_DHN.tsv:3692  20-001-01       ⿰赤皮 -> 𧹞    4
20-001-01_DHN.tsv:3693  20-001-01       ⿰赤皮 -> 𧹞    2
20-001-01_DHN.tsv:3768  20-001-01       ⿰赤皮 -> 𧹞    4
20-043-01_KOJ.tsv:216   20-043-01       ⿰酉盖 -> 𨢸    4
20-043-01_KOJ.tsv:394   20-043-01       ⿱殸正 -> 𣫆    4
20-043-01_KOJ.tsv:405   20-043-01       ⿰口臘 -> 𡅘    4
20-043-01_KOJ.tsv:406   20-043-01       ⿱商衣 -> 𧜟    4
20-043-01_KOJ.tsv:684   20-043-01       ⿰酉盖 -> 𨢸    4
20-043-01_KOJ.tsv:780   20-043-01       ⿱艹觔 -> 𮏴    4
20-044-01_HOK.tsv:1603  20-044-01       ⿰乞頁 -> 𩑔    4
30-005-01_SKK.tsv:58    30-005-01       ⿰氵盥 -> 𤃗    4
30-005-01_SKK.tsv:59    30-005-01       ⿰氵盥 -> 𤃗    2
30-005-02_SKO.tsv:16    30-005-02       ⿰土睘 -> 𡑡    4
30-005-02_SKO.tsv:17    30-005-02       ⿰土睘 -> 𡑡    2
30-005-02_SKO.tsv:32    30-005-02       ⿱艹嬖 -> 𭒯    4
30-005-02_SKO.tsv:162   30-005-02       ⿰亻遺 -> 𠑌    4
30-005-02_SKO.tsv:163   30-005-02       ⿰亻遺 -> 𠑌    4
30-005-02_SKO.tsv:164   30-005-02       ⿰亻遺 -> 𠑌    2
30-005-02_SKO.tsv:177   30-005-02       ⿰忄害 -> 𢞐    4

summary:
changed files: 12
changed rows: 111
replacement occurrences: 392

This was a dry-run. Add --apply to write changes.

問題なければ実適用します。

python3 scripts/apply_idc_ucs_replacements.py \
  --map linked_out_dhsjr_all_cjkv-jp/unmatched_uniq_blocks_idc_with_ucs.tsv \
  --data-dir /home/ikeda/Hdic_data/DHSJR/data \
  --backup-dir /home/ikeda/Hdic_data/DHSJR/data_backup_before_idc_ucs_20260701 \
  --apply

このスクリプトは次の列だけを置換対象にします。

単字_見出し
単字_出現形
漢語_見出し
漢語_出現形

また、同じ 資料番号 + 単字_見出し に複数の異なる UCS 文字候補がある場合は自動置換せず、衝突レポートに出します。

IDS表記のUCS変換と括弧除去 #

問題の発見 #

変換後のデータを確認すると、漢語_見出し漢語_出現形列に次のような残存形が生じていました。

永無[𡏚]落
[𧹞]然有愧

元データでは[⿰土虒]のように、IDS表記が[]で囲まれていました。スクリプトはIDS文字列そのものを置換対象としていたため、囲んでいる括弧はそのまま残ってしまったのです。

原因の整理 #

apply_idc_ucs_replacements.pyの置換処理は、変換表に登録されているIDS文字列(⿰土虒など)を検索して置換します。元データに[⿰土虒]という形で入っていた場合、⿰土虒の部分は置換されますが、括弧[]はそのまま残ります。結果として[𡏚]という中間状態が生じました。

対策の方針 #

対処方針として2点を整備しました。

今後の新規変換への対応として、apply_idc_ucs_replacements.pyを修正し、[⿰土虒]【⿰土虒】⿰土虒の3パターンをすべて置換対象に加えました。これにより今後は[𡏚]のような中間状態が生じません。

既存データの修正として、別スクリプトstrip_ucs_brackets.pyを作成しました。

括弧除去にあたっては、単純に[]で囲まれた文字列をすべて除去する方法は採りませんでした。DHSJRのデータには[A][左][未詳]のような注記的な括弧表記も存在するためです。誤って注記を消してしまうリスクを避けるため、変換表に載っているUCS文字を囲む括弧のみを除去対象としました。

作成したスクリプト #

strip_ucs_brackets.pyの処理の流れは次のとおりです。

  1. 変換表TSVからUCS文字の集合を読み込みます。
  2. その文字セットだけにマッチする正規表現を生成します。
  3. 漢語_見出し漢語_出現形列に対してのみ適用します。

変換表はヘッダなし4列形式(資料番号IDSUCS16進UCS文字)を前提としています。

strip_ucs_brackets.py は、変換済みデータに残った [𡏚] や 【𡏚】 のような UCS文字を囲む括弧だけを外すスクリプトです。[左] や [未詳] などの注記括弧には触れません。

実行方法 #

dry-runで変更予定箇所を確認してから適用します。

オプションで指定するファイルの場所は適宜、自分の環境にあわせてください。

# 確認(dry-run)
python3 scripts/strip_ucs_brackets.py \
  --map linked_out_dhsjr_all_cjkv-jp/unmatched_uniq_blocks_idc_with_ucs.tsv \
  --data-dir /home/ikeda/Hdic_data/DHSJR/data

# 適用
python3 scripts/strip_ucs_brackets.py \
  --map linked_out_dhsjr_all_cjkv-jp/unmatched_uniq_blocks_idc_with_ucs.tsv \
  --data-dir /home/ikeda/Hdic_data/DHSJR/data \
  --apply

適用後、括弧が残っていないことを確認します。

grep '𧹞\|𡏚\|𨢸' /home/ikeda/Hdic_data/DHSJR/data/*.tsv | grep '\['

何も出力されなければ除去完了です。

おわりに #

今回の作業で明らかになったのは、IDS→UCS変換の置換単位と元データの記述単位が一致していないことで中間状態が生じるという問題です。apply_idc_ucs_replacements.pyへの[IDS]【IDS】パターン追加により、今後の変換ではこの問題は生じません。既存データについてはstrip_ucs_brackets.pyによる変換表ベースの括弧除去で対処しました。

次回(6)予告 #

本稿(5)では、unmatched 例の精査と DHSJR 側データの手当てに着手しました。ids.txt との照合で 93 件の IDS→UCS 変換を適用し、入力ミス(空白混入、【】括弧、平仮名混入など)の修正も一部行いました。しかし、(5) 冒頭の検討事項のうち、CJK互換漢字 4 例の --itaiji-json 用ペア整備や、不也 のような CJK統合漢字 ブロックの明白なエラーの系統的な整理は、いまだ手つかずです。ids.txt にもない IDC 表記や、該当なし ブロックに分類される記号・注記的な字種も、引き続き unmatched を占めています。

次回(6)では、まず DHSJR データ修正後に gy_dhsjr_link.py を DHSJR 全 74 文献に対して再実行し、(4) で得た unmatched 7,523 行(multi 103,586 行)からどれだけ改善するかを再計測することを予定します。あわせて、残る unmatched を異体字マップでさらに削れるか(CJK互換漢字 など)を検討し、(4) で定量化した「unmatched 減少と multi 増加」のトレードオフについて、multi 行の具体例を精査します。(1) から課題として挙げていた --sgy オプションが、複数音候補の絞り込みにどこまで有効かも、可能な範囲で試してみる予定です。